【Weekly Africa Biz】2026年11月第1週:OPayがNYSE上場を撤回、ケニアのレアアース入札に米国勢、アフリカ32カ国でデジタル課税

今週は、アフリカビジネスに関する記事を7本公開しました。ソフトバンクが出資するナイジェリアのOPayが、売買開始の予定日にNYSEへの上場を取りやめ、同じナイジェリアでは後払いのKlumpが5年で事業を終えました。
ケニアではレアアース鉱床の入札に米国勢が並び、PwCはアフリカ32カ国でデジタル課税の制度が整ってきたと報告しています。
東大阪で開かれた大阪アフリカビジネスフォーラムのレポートもお届けした1週間です!
今週のアフリカビジネス:3つの注目トレンド
今週公開した記事群を俯瞰すると、大きく3つの動きが見えてきます。

1つ目は、アフリカのフィンテックと投資の「お金の出どころ」が問われた週でした。
ナイジェリアの後払い(BNPL)スタートアップKlumpは、5年で事業を終えました。創業者が挙げた理由は、需要の不足ではありません。
自前で貸すための借入が集まらず、銀行と組む形に切り替えると、1社との接続に6〜18カ月かかったといいます。
OPayは、上半期だけで9,090万ドル(約144億円)の純利益を出す会社です。
それでも、海外のある国の規制当局による照会・調査を受けて、NYSEへの上場を取りやめました。業績が良いことと、上場できることは別の話でした。
一方で、新しいお金の流れも生まれています。ケニアの消費財大手Kenafricは、1,000万ドル(約16億円)の投資ファンドを立ち上げ、食品や美容の若い企業に投資します。
Partech Africaによると、2025年のアフリカのテック企業への株式出資で、フィンテックの割合は金額の32%と、2024年の60%から大きく下がりました。
アフリカの企業と組むときは、ユーザー数や業績だけでなく、「誰のお金で回っているのか」「どの国の当局の目が届くのか」まで確かめておきたいところです。

2つ目は、アフリカの国々が、税と資源のルールを自分たちで決めにいく動きが重なった週でした。
PwCによると、アフリカ54カ国のうち32カ国が、海外の企業が提供するデジタルサービスにVAT(付加価値税)をかける制度を持っています。
サービスが使われた国で税金を取る、という考え方です。ただし、ルールは国ごとにばらばらで、詳しく取り上げた28法域のうち15法域には登録の基準額がありません。
ケニアでは、ムリマ・ヒルのレアアースとニオブの鉱床を巡り、5つのグループが入札しました。
そのうち3つが米国または米国系で、中国企業2社は選定手続きから撤退しています。ケニア政府は入札の条件に、鉱物を国内で加工できる能力を入れました。
重希土類の精製では、世界の99%以上を中国が占めるとされます。ジョホ鉱業長官は、北京からもワシントンからも圧力は受けておらず、誰と組むべきかを指図される立場にないと話しています。
日本企業にとっては、アフリカで売る、アフリカから買うという関わり方の前に、その国がいま何を自国で握ろうとしているのかを知っておくことが入口になりそうです。

3つ目は、出会いを事業に変えるまでの「段差」を、現場の声から考えた週でした。
10月22日に東大阪で開かれた大阪アフリカビジネスフォーラム2026では、大阪・関西万博に出展したアフリカの国が46カ国、2027年の横浜のGREEN×EXPOへの参加を表明した国が36カ国だと紹介されました。
TICAD9に合わせて確認された署名文書は324件で、過去最多です。それでも登壇者からは、「日本はスピードが遅い」「まだ何も始まっていない」という声が出ました。
弊社の横山がモデレーターを務めたセッション2では、価格と製品、パートナーと代理店、ルールと現金という3つの壁を挙げています。
信頼できるパートナーの見つけ方を聞くと、立場の違う3人から「紹介」「小さく試す」「対等」という言葉が重なりました。
Kenafricの記事で紹介した、ユニ・チャームと豊田通商がCFAO Kenyaと組む合弁も、「つくる力」と「届ける力」を組み合わせる形です。
MOUの数ではなく、そこから生まれた事業の数で測る。その一歩目は、小さな取引から始まるのだと思います。

今週のアフリカビジネスニュース:記事一覧
【10/26】アフリカ32カ国でデジタル課税が拡大!28法域のVAT税率と日本の消費税を比べてみた〜PwCレポート解説〜

日本の消費税10%より税率が低いのは、28法域のうちナイジェリアの7.5%だけでした。
PwCの最新の報告書によると、アフリカ54カ国のうち32カ国が、動画配信やクラウド、アプリなど海外のデジタルサービスにVATをかける制度を持っています。
国別ページから税率と登録のルールを一覧にすると、ケニアやガーナなど15法域には登録の基準額がなく、売上が小さくても最初の取引から手続きが要る場合があります。
誰が納めるのか、制度が実際に動いているのかまで、進出前に確かめたい4つの項目を整理しています。
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【10/27】大阪アフリカビジネスフォーラム2026レポ!大阪・関西万博のご縁を横浜グリーンEXPOへ、事業に変えるための次の一手!【前編】

大阪・関西万博に出たアフリカの国は46カ国。そのうち33カ国が、2027年に横浜で開かれるGREEN×EXPOにも参加を表明しています。
10月22日に東大阪で開かれたフォーラムの1日を、基調講演とセッション1を中心にまとめました。
コンゴの地酒をそのままコンロの燃料にして米が炊けた話や、「3年ではなく20年で見ている」というザンビアでの言葉など、登壇者の話はとても具体的です。
万博で生まれたご縁を事業に変えるには何が足りないのか、3つの共通点から考えています。
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【10/28】日本企業がアフリカ市場参入でつまずく3つの壁!パートナーは小さく試して見極める〜大阪アフリカビジネスフォーラム2026 レポ 後編〜

日本で100円のものが、現地では300〜350円になることもあります。フォーラムのセッション2で、横山が冒頭のプレゼンで挙げた例です。
日本企業がつまずく壁として、価格と製品、パートナーと代理店、ルールと現金の3つを紹介しました。
パネルでは、Solafuneのフレディ氏、ステージバンクの菅生氏、駐日マラウイ大使館のDyson氏に、信頼できる現地パートナーの見つけ方を聞いています。
日本の百貨店の小さなポップアップから始まった提携の話は、代理店選びに迷っている方にぜひ読んでほしい内容です。
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【10/29】ナイジェリアの後払い「Klump」が事業終了!BNPLモデルの3つの壁とペイディとの違い!

JumiaやKongaの決済画面に組み込まれた後払いサービスが、5年で幕を下ろしました。
ナイジェリアのKlumpは、一部の加盟店でカゴ落ちを最大45%減らしたといいます。
それでも、自前で貸すための資金が集まらず、銀行と組む形に変えると、提携に6〜18カ月かかりました。
資金調達、銀行連携、与信審査という3つの壁と、ケニアのLipa Laterとの買収交渉の行方を整理しています。
PayPal傘下で事業を続ける日本のペイディとの違いから、後払いを長く育てるのに何が要るのかも考えました。
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【10/30】フィンテックの次は食品・美容!?ケニア大手Kenafricが約16億円の投資ファンド設立!

かつて投資家から出資を受けて育った会社が、今度は投資する側に回りました。
ケニアの消費財メーカーKenafricが、1,000万ドル(約16億円)のファンド「Kenafric Ventures」を立ち上げ、食品・飲料や美容の若い企業に1社あたり10万〜200万ドル(約1,600万〜3.1億円)を出資します。
出資金と同じくらい価値があるとCEOが語るのは、40年近くかけて築いた製造と流通の知見です。
ケニアの日用消費財の支出が2025年に17.9%増えたデータや、ユニ・チャームとアサヒの動きもあわせて紹介しています。
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【10/31】ソフトバンク出資のOPay、NYSEへのIPO撤回!ナイジェリアのフィンテックに何が起きた!?

経営陣がNYSEの鐘を鳴らした日、株は1株も取引されませんでした。10月30日、ナイジェリア最大級のフィンテックOPayが、予定募集総額3億400万ドル(約480億円)のIPOを撤回しました。
理由に挙げたのは、海外のある国の規制当局による照会・調査です。どの国の、どの当局なのかは公表されていません。
「一時保留」から撤回へと変わった説明の流れを時系列で整理し、Airtel MoneyやMNT-Halanの上場との違い、ソフトバンクにとっての意味まで読み解いています。
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【11/1】ケニアのレアアース・ニオブ鉱床にアメリカ勢中心の5陣営が入札!中国2社は撤退!

モンバサから南西に約65kmの丘に、米国と豪州の企業が並びました。ケニアのムリマ・ヒルに眠るレアアースとニオブの鉱床を巡り、10月21日に5つのグループが入札し、中国企業2社は手続きから撤退しています。
よく引用される624億ドル(約9.9兆円)は、2013年に旧事業者が出した見積もりで、経済的に採掘できる埋蔵量ではありません。
入札企業どうしの知的財産を巡る対立、聖なる森を抱える地域住民の不安、国内での加工を求めるケニア政府の狙いまで整理しています。
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編集部ピックアップ:10/31「ソフトバンク出資のOPay、NYSEへのIPO撤回!」
今週の注目は、OPayのIPO撤回の記事です。業績の良い会社でも、事業とは別のところで上場が止まりうることを示した出来事だと思ったからです。
OPayは、月5,010万人が使うアプリで送金や決済、融資を提供し、2026年上半期の売上の89.5%をナイジェリアで上げています。
一方で、持株会社はケイマン諸島、本社はシンガポール、上場先は米国です。
今回の要件はナイジェリアの規制の枠外にあり、OPayは「中核事業にとって重要ではない国」の当局だと説明しています。
それでも、IPOそのものが取りやめになりました。IPOと同時に予定していた、Standard Bank Group傘下からの最大2億ドル(約316億円)の出資と、ナイジェリア取引所への重複上場も、どうなるかは発表されていません。

ソフトバンクにとっても、OPayはSoftBank Vision Fund 2のアフリカ初の投資先で、上場によって投資を回収する道が先送りになりました。
記事は、相手の業績やユーザー数だけでなく、どの国に法人があり、どの国の資本や経営陣とつながっているのか、その「国の重なり」まで見ておくことが提携や出資のリスクを減らす第一歩だと結んでいます。
アフリカのスタートアップに関わる日本の企業や投資家に、ぜひ読んでいただきたい1本です。

今週の数字
32カ国:アフリカ54カ国のうち、海外の企業が提供するデジタルサービスにVATやGSTをかける制度を持つ国の数(PwC)。2024年の初版で詳しく取り上げたのは21法域、今回は28法域です
36カ国:2027年に横浜で開かれるGREEN×EXPO 2027への参加を表明したアフリカの国の数。そのうち33カ国は、大阪・関西万博にも出展した国です
324件:2025年のTICAD9に合わせて確認された署名文書の数。前回TICAD8の92件の約3.5倍で、過去最多です
6〜18カ月:Klumpが金融機関とのシステム接続にかかった期間。長いものでは3年近くかかったと創業者は書いています
17.9%:2025年のケニアの日用消費財(FMCG)への消費支出の伸び(Worldpanel by Numerator)。前年は2.1%の減少でした
3億400万ドル(約480億円):OPayがIPOで予定していた募集総額。公開価格は仮条件19〜21ドルの下限の19ドルでした
99%以上:重希土類の世界の精製のうち、中国が占める割合(Benchmark Mineral Intelligence)

アフリカビジネスの「いま」を、毎週お届けしています。
AXCEL AFRICAは、日本とアフリカ諸国を繋ぎ、社会課題解決型ビジネスを共創することで、アフリカの持続的成長に貢献します。
ケニア拠点を軸にアフリカ主要国をカバーし、市場調査・現地パートナー連携・事業開発支援を提供しています。
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