【Weekly Africa Biz】2026年10月第2週:豊田通商がボツワナ・マダガスカルの医薬品卸を子会社化、MNT-Halanがエジプトで上場へ、AfCRA発足、ナイジェリアがケニアを逆転

今週は、アフリカビジネスに関する記事を7本公開しました。エジプトのフィンテック企業MNT-Halanが、自国の取引所への上場計画を発表しました。
豊田通商はボツワナとマダガスカルの医薬品卸を子会社にし、アフリカ連合(AU)主導の格付け機関AfCRAも正式に発足しています。
Bloombergのリスクランキングでは、ナイジェリアがケニアを逆転しました。お金と評価の「ものさし」が動いた1週間です!
今週のアフリカビジネス:3つの注目トレンド
今週公開した記事群を俯瞰すると、大きく3つの動きが見えてきます。

1つ目は、アフリカ投資の「出口」が動き出した週でした。10月1日、エジプトのMNT-Halanがエジプト証券取引所(EGX)への上場計画を発表しました。
エジプト事業の株式の20%にあたる3億2,000万株を、親会社が売り出す計画です。
10月はこのほかにも、ロンドンのAirtel Money、ケニアのスーパーQuickmart、ナイジェリアのダンゴテ製油所の上場手続きが重なっています。
4件のうち3件は、会社が新しくお金を集めるのではなく、既存の株主が持ち株を現金に換える「売出し」です。投資した資金をアフリカの取引所で回収できるのか。
いま、その試運転が始まっています。M&Aの側でも動きがありました。豊田通商は、グループのCFAOを通じて、ボツワナの医薬品卸Medswana社の株式75%を取得し、マダガスカルのOpham社も子会社にしました。
両社とも、それぞれの国の民間市場で医薬品流通シェア1位だと豊田通商は説明しています。
上場と買収は、どちらも投資の「出口」と「入口」の話で、日本のスタートアップ投資家や事業会社にとって、見ておきたい動きだと思います。
ただし、Airtel Moneyの評価額は当初の報道を下回っており、MNT-Halanの価格もこれから決まります。

2つ目は、アフリカの国をどう評価するか、そのものさしが問い直された週でした。
10月7日、AUが主導してきた格付け機関AfCRAがモーリシャスで正式に発足しました。
アフリカ諸国がドル建て国債で支払う利回りは、2024年に平均で約9%でした。アジアの新興国(約4.7%)や中南米(約6.5%)より高い水準です。
国連開発計画(UNDP)は、格付けを調整できていれば最大745億ドル(約11.8兆円)を追加で調達できたと試算しました。
一方で、データの不足や制度の違いも原因だという反論もあり、答えは白か黒かではありません。
同じ週にBloombergが公開した19カ国のリスクランキングでは、ナイジェリアが12位から8位へ上がり、ケニアは9位から11位に下がりました。
ただしケニアの総合点は0.0のままで、相対評価なので、他の国が動くと順位も動きます。
日本企業は、格付けの記号や順位だけで国を判断せず、自社の事業に関わる項目を見る必要があると思います。

3つ目は、日本企業の入り方が、国や分野によって大きく違う週でした。
2026年9月の日本企業のアフリカ動向を見ると、ケニア競争当局の条件付き承認、ナイジェリアでの現地法人の開所、タンザニアでの脱炭素の覚書、コートジボワールへの視察団と、動きの段階はばらばらでした。
医薬品の分野でも、松風はザンビアで現地の販売代理店と組み、豊田通商は現地の有力な卸を買収しました。
手元の事業の規模と、現地にどこまで足場があるかで、取れる方法が変わります。もう一つ、9月の案件の多くには現地のパートナーがいました。
誰と組むかを決めることが、最初の大きな判断になっているのだと思います。
進出を考える企業は、製品登録や規制の検討と並行して、どの国で誰と組むのかを早めに考えておくとよさそうです。

今週のアフリカビジネスニュース:記事一覧
【10/5】アサヒ・八千代・ヤマハが動いた9月!承認・実証・視察まで、3つの段階で見る!〜2026年9月 日本企業のアフリカ動向〜

大型投資の発表が目立たなかった9月にも、日本企業の動きは途中の段階で進んでいました。
ケニアの競争当局は、アサヒのEABL買収を条件付きで承認し、小売店の冷蔵設備の20%以上を競合ブランドに空けることなどを求めています。
ただし取引はまだ完了していません。ナイジェリアでは八千代エンジニヤリングが現地法人を開所し、ヤマハ発動機は東アフリカでスタートアップとの実証に加わりました。
「形になった案件」「案件化が進む動き」「次の展開を探す動き」の3つに分けて整理しています。
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【10/6】豊田通商がアフリカ医薬品流通を拡大!ボツワナ・マダガスカル買収で進む「生産・卸・小売」戦略!

豊田通商は、アフリカ24カ国で11,000以上の薬局に医薬品を卸しています。
10月6日、グループのCFAOを通じて、ボツワナの大手卸Medswana社の株式75%を取得したと発表しました。
マダガスカルの大手卸Opham社も子会社にしています。取得金額は公表されていません。
ケニアの薬局チェーンGoodlife、南アフリカの生産、モザンビークの卸と続いてきた流れの中に、この2件を置いて読みました。
日本の製薬会社や医療機器メーカーにとって、現地の卸と組むことが何を意味するのかも書いています。
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【10/7】エジプト発ユニコーンMNT-Halanが上場へ!アフリカ投資の「出口」は開くのか!?

10月1日、エジプト初のフィンテック・ユニコーンMNT-Halanが、エジプト証券取引所(EGX)への上場計画を発表しました。
エジプト事業の20%にあたる3億2,000万株を親会社が売り出し、10月中の売買開始を目指します。上場するエジプト事業の顧客は約190万人です。
2026年1〜9月にEGXへ新しく参加した投資家は50万人を超え、個人マネーが市場に向かっています。
MNT-Halan、Airtel Money、Quickmart、ダンゴテ製油所の4件を比べ、アフリカの株式市場が「出口」として機能するのかを考えました。
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【10/8】アフリカの情報発信を強化!AIの進化でやっと実現できた7つのマーケティング施策!

noteの連続投稿は、120日を超えました。9月の始めから「マーケティング強化月間」と決めて作ってきた、情報発信の仕組みを7つ紹介した記事です。
10月から始めたYouTubeショートは、ケニア人社員という設定のNiaとKevinが主役で、毎朝7時半に公開しています。
10月6日にはメルマガ「アフリカビジネス最前線」を創刊しました。そのほか、イベント、ウェブサイトの改善、ホワイトペーパー、AI-HUBの会員ページまで、AXCEL AFRICAのいまの取り組みをまとめています。
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【10/9】アフリカの信用格付けは本当に低すぎるのか?新機関AfCRA発足と日本の円建て資金

アフリカの国々は、国際市場でドル建て国債を発行すると平均で約9%の利回りを払っています。
10月7日に発足したAfCRAは、この高い借入コストを変えられるのでしょうか。
「格付けは不当に低い」というアフリカ側の主張と、「偏りだけでは説明できない」という反論の両方を並べました。
AfCRAの最初の試金石は、厳しい評価を出せるかどうかです。後半では、エジプトやコートジボワールなどで、銀行の保証や保険を組み合わせた円建て資金がすでに届いている例を紹介しています。
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【10/10】アフリカ投資リスク2026!ナイジェリアがケニアを逆転したBloombergの19カ国ランキング〜前編〜

前年12位だったナイジェリアが、Bloombergの「アフリカ投資リスク評価」で8位まで上がりました。
外貨準備は約18年ぶりの高さになった一方で、制度とインフラの評価は下がっています。「安全な国になった」と読むのは早い、というのが今回の数字の姿です。
前編では、19カ国の順位表の読み方と、ナイジェリア、ガーナ(4位)、ボツワナ(5位)、モーリシャス(1位)の4カ国の変化を取り上げました。
ボツワナが後退した背景には、ダイヤモンドの需要低迷があります。
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【10/11】ケニア11位はどう読む!?Bloombergアフリカ投資リスクランキングを日本企業の国選びに使う方法〜後編〜

ケニアは9位から11位に下がりましたが、総合点は0.0のままです。中身を見ると、為替をめぐる不安は和らぎ、財政と制度の評価が下がっていました。
後編では、順位が変わらなかったザンビアとセネガル、ルワンダの内側の変化も追っています。
日本企業がこのランキングを国選びに使うときのコツは、総合点より、自社の事業に関わる項目を見ることです。
輸入販売なら対外脆弱性、工場を持つならインフラ、という見方を紹介しています。
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編集部ピックアップ:10/7「エジプト発ユニコーンMNT-Halanが上場へ」
今週の注目は、MNT-Halanの上場計画の記事です。10月は大型の上場が重なっていて、いちばんタイムリーな話題でもあります。
面白いと思ったのは、今回の株がすべて親会社の持ち株だという点です。売った代金は親会社に入りますが、発表には続きがあって、売出しのあとに親会社が同じ価格で最大40億エジプトポンド(約120億円)の新株を引き受け、エジプト事業に資本を入れる予定です。
株主の入れ替えと、事業への資本の積み増しを、一度にやろうとしています。アフリカのスタートアップ投資では、長く「出口が見えない」ことが課題でした。
ボストン コンサルティング グループ(BCG)の分析では、プライベート・エクイティ投資の回収事例のうち、IPOによるものは平均で約1割にすぎません。
自国の取引所で、ユニコーン規模の会社の株主が資金を回収できるのか。この秋の4件の売買が始まるころに、答えが見えてくると思います。
ただし、売出し価格や評価額は未定で、上場は規制当局の承認と市場環境が前提です。

今週の数字
20%:ケニアの競争当局がアサヒのEABL買収の条件とした、小売店の冷蔵設備のうち競合ブランドに空けておく割合(下限)。取引はまだ完了していません
11,000以上:豊田通商グループが、アフリカ24カ国で医薬品を卸している薬局の数
3億2,000万株:MNT-Halanのエジプト事業で、親会社が売り出す株数。発行済み株式の20%にあたります
120日以上:横山のnote連続投稿の日数(2026年10月8日時点)
約9%:2024年にアフリカの国々が国際市場で発行したドル建て国債の、平均利回り(OECD)。アジアの新興国は約4.7%、中南米は約6.5%でした
4つ:Bloombergのリスクランキングで、ナイジェリアが前年から上げた順位。12位から8位になりました
0.0:ケニアの総合点。前年と同じですが、順位は9位から11位に下がりました

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