【Weekly Africa Biz】2026年10月第4週:ダンゴテがケニアのパイプライン株25%取得、エジプト32兆円の都市開発、ガーナが原鉱石輸出禁止へ

今週は、アフリカビジネスに関する記事を7本公開しました。ナイジェリアのダンゴテ氏がケニアの石油パイプライン会社の株を約25%取得し、エジプトでは約32兆円の都市開発が合意され、ガーナは2030年までに鉱物の原料輸出をなくす方針を示しました。
世界銀行の成長と貧困のデータ、アフリカ金融市場ランキング、在留邦人と日系企業の拠点、54カ国の選挙日程まで、数字の中身と事業の前提を確かめた1週間です!
今週のアフリカビジネス:3つの注目トレンド
今週公開した記事群を俯瞰すると、大きく3つの動きが見えてきます。

1つ目は、「成長」や「改善」の数字の中身を、もう一段掘り下げた週でした。
世界銀行は、サハラ以南アフリカの2026年の成長率を4.3%と見込み、地域の約4分の3の国で見通しを引き上げました。
ただ、人口の伸びが速いため、1人当たりGDPの成長率は1.8%にとどまり、1日3ドル未満で暮らす人の割合は47.8%と高止まりします。
ナイジェリアは毎年3〜4%台の成長を保ちながら、インフレ率が2024年に33.2%に達し、貧困率は2023年の41.8%から2025年には50.9%に上がりました。
金融市場でも同じことが言えます。アフリカ金融市場指数2026では、29カ国のうち21カ国が点数を上げ、平均点は10年間で最も高くなりました。
それでも、レポートが繰り返し指摘したのは流動性の低さです。ナイジェリア、ガーナ、タンザニアでは、上場株式のうち国内の機関投資家が持つ割合が5%に届きません。
成長率や総合点のランキングだけでなく、1人当たりの所得や物価、売買の厚みまで確かめる。
「いくらなら買えるか」「必要なときに資金を動かせるか」から逆算する見方が、日本企業には欠かせないと思います。

2つ目は、アフリカの政府と資本が、インフラと資源の「流れ」を自ら握りにいく動きが重なった週でした。
ナイジェリアのダンゴテ氏は、ケニアの燃料をウガンダやルワンダなどの内陸国へ運ぶKPC(ケニア・パイプライン・カンパニー)の株を約25%取得しました。
報道をもとにした概算では、取引後の主な株主にケニア政府、ダンゴテ側、ウガンダ国営石油会社と、3つの国の資本が並びます。
KPCの売り出しで海外の投資家が買ったのは、割り当て枠の0.15%ほどでした。
東アフリカの燃料インフラの株主に名を連ねたのは、ウガンダ政府とナイジェリアの富豪という、どちらもアフリカの資本です。
エジプトでは、湾岸の政府系ファンドではなく国内の民間大手TMGが、港と工業団地と住宅を一体でつくる計画で政府と合意しました。
ガーナのマハマ大統領は、2030年までに原料のままの鉱物輸出をなくすと表明しています。
アフリカでは、輸出の制限や国内加工の義務を導入した国が約13カ国にのぼるとされます。ただ、どれもまだ途中です。
ラムのダンゴテ製油所は原油の調達先が決まっておらず、TMGの開発は国の取り分も日程も公表されていません。ガーナの禁止も、まだ法律にはなっていません。
日本企業にとっては、原料を買う、設備を納めるという関わり方に加えて、誰が発注を決め、誰がどの工程の費用を負うのかを押さえることが入口になりそうです。

3つ目は、事業計画の前提になる「人」と「日程」の地図を描き直した週でした。
アフリカ54カ国に住む日本人は6,551人で、2019年と比べると、アフリカ地域の在留邦人は12%減りました。
それでも日系企業の拠点は16%増えて1,054拠点になり、なかでもケニアは6年で87拠点から135拠点へと55%増えています。

そのケニアと、拠点数5位のナイジェリアが、2027年に選挙を迎えます。ナイジェリアの大統領選挙は1月16日、ケニアは8月10日です。
2026年1月のウガンダでは、投票の2日前から通信が止められ、全面的な復旧が発表されたのは投票から11日後でした。
2025年10月のタンザニアでは、投票日の夕方から夜間の外出が禁じられています。日付そのものも動きます。
ナイジェリアは前倒しされ、ギニアビサウは延期され、ジンバブエは2028年から2030年に延びました。
為替や市場の数字と同じように、選挙の日付と、現地に誰がどれだけいるのかも、計画の前提に置いておきたいところです。
重要な出張や契約の段取りは、2027年のカレンダーを見ながら、いまから組んでおくとよいと思います。

今週のアフリカビジネスニュース:記事一覧
【10/19】アフリカ経済は4.3%成長でも貧困が減らない?世界銀行データでサハラ以南47カ国を分析!

成長率は4.3%に上がるのに、貧困率は47.8%のままです。世界銀行が10月6日に公表した見通しでは、サハラ以南アフリカの2026年の成長率が4.3%に上がる一方、1人1日3ドル未満で暮らす人の割合は47.8%にとどまります。
筆者は国別のレポート47カ国分を1カ国ずつ開き、比べられる44カ国の成長率と貧困率を並べました。
高成長で貧困も減るコートジボワールやベナン、成長しても減りにくいケニアやコンゴ民主共和国、成長しているのに貧困が増えたナイジェリア。
4つのパターンと、貧困が減らない3つの理由、日本企業が市場を見るときの物差しを紹介しています。
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【10/20】アフリカに日本人は何人いる!?在留邦人と日系企業を54カ国調べてみた!

アフリカ54カ国に住む日本人は、合わせて6,551人です。海外に住む日本人約130万人のわずか0.5%で、タイ1カ国に住む日本人はその約11倍にのぼります。
外務省の最新の統計2つから、国別の在留邦人と日系企業の拠点数を調べました。1位は南アフリカの1,004人で、ケニアは828人で2位です。
2019年と比べると、在留邦人は12%減ったのに、日系企業の拠点は16%増えて1,054拠点になりました。ケニアの拠点は6年で55%増えています。
日本人が0人の国や、数字を読むときの注意点もあわせて整理しています。
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【10/21】アフリカ金融市場ランキング2026!南ア首位、ケニア5位!日本企業が注目すべき国は!?

29カ国のうち21カ国で、スコアが上がりました。AbsaとOMFIFが10月14日に発表した「アフリカ金融市場指数2026」で、首位は今年も南アフリカです。
平均点は56点と、10年間で最も高くなりました。ケニアは、10年以上ぶりのIPOやドル建ての上場が評価されて7位から5位へ、ガーナは債務危機からの回復が進んで10位から6位へ上がりました。
一方、ナイジェリアは外貨の改革が評価されながらも、制度と報告の仕組みで点を下げて6位から8位になっています。
日本企業が読むための3つの物差し、「外貨へのアクセス」「透明性」「市場の厚み」も紹介しています。
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【10/22】エジプトで32兆円の都市開発計画!4大プロジェクトと不動産ブームの裏側

投資額は合計で約11兆エジプトポンド、日本円で約32兆円です。10月20日、エジプト政府と不動産大手のTMG(Talaat Moustafa Group)が、4つの大型都市開発で合意しました。
投資額のほぼ半分を占めるアブキールでは、港の隣にフリーゾーンや工業団地、物流施設、住宅をまとめてつくる計画です。
ただし、32兆円はこれから長い時間をかけて投じる予定の金額で、国の取り分や工事の日程、費用の分担は公表されていません。
人口約1億954万人の住宅需要、完成前販売に頼る資金の仕組み、日本企業の商機まで読み解いています。
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【10/23】ケニアの次の大統領選挙は2027年8月10日!アフリカ54カ国の選挙日程を調べてみた!

ケニアの次の大統領選挙は2027年8月10日、ナイジェリアは2027年1月16日です。
日系企業の拠点数でアフリカ2位と5位の2つの市場が、同じ年に選挙を迎えます。筆者は、各国の選挙管理委員会の発表をもとに、54カ国の次の国政選挙を数えました。
2027年は11カ国、2028年は6カ国で、時期そのものが見えない国も7カ国ありました。
選挙の前後に起きたインターネットの遮断や国境の封鎖の例と、出張は投票日の前後2週間を目安に外すなど、日本企業の4つの備えを紹介しています。
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【10/24】ダンゴテがケニアの石油パイプライン株25%取得!ラム製油所と東アフリカ戦略を解説!

年金基金や政府系機関が7か月あまり前に買ったケニアの燃料インフラの株が、ナイジェリアの富豪の手に移りました。
10月21日、アリコ・ダンゴテ氏が、ケニア・パイプライン・カンパニー(KPC)の株式約25%を取得したと明かしました。
取引額は約425億ケニアシリング(約510億円)と報じられています。KPCは、モンバサから約1,342kmのパイプラインで燃料を運び、ウガンダなど内陸国への通り道でもあります。
9月に起工したラムの日量70万バレルの製油所と合わせて、原油の調達から輸送、資金集めまでをつなごうとするダンゴテの東アフリカ戦略を解説しています。
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【10/25】ガーナが2030年までに鉱物の原料輸出を禁止へ!?アフリカで広がる資源の国内加工戦略とは?

「2030年までに、未加工の鉱物がガーナの岸を離れることはなくなる」。
10月19日、ガーナのマハマ大統領は、ボーキサイト、マンガン、鉄鉱石、リチウムといった鉱物の原料輸出を、段階的に禁止する方針を示しました。
ただし、まだ法律にはなっていません。金では、GoldBodが10月に買い取った小規模採掘の金の94.6%を国内で精錬するまでになりました。
一方、アルミ製錬所のVALCOは、200ある電解槽のうち稼働中が約90まで減っています。
ジンバブエやDRC、ギニア、インドネシアの例と、日本のマンガン調達とのつながりもまとめました。
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編集部ピックアップ:10/25「ガーナが2030年までに鉱物の原料輸出を禁止へ!?」
今週の注目は、ガーナの原料輸出の禁止方針の記事です。ガーナ1カ国の話ではなく、日本の調達先そのものに関わる話だと思ったからです。
記事によると、2024年に日本が輸入したマンガン鉱石は2億1,900万ドル(約344億円)で、その約95%を南アフリカとガボンの2カ国に頼っています。
そのガボンが、2029年1月1日から未加工マンガン鉱石の輸出を禁じる方針を示し、南アフリカでも未加工のクロム鉱石に25%の輸出税をかける案が検討されています。
一方で、加工の受け皿づくりは簡単ではありません。ギニアでは、いまの電力は約1,000MWなのに、精製所の計画には5,000〜10,000MWが必要だと政府の顧問が述べています。

インドネシアのニッケルの成果も、中国からの巨額の投資や安い石炭火力という条件に支えられていました。
記事は、日本企業にとって大事なのは、アフリカの鉱物を「どこで、誰が加工するのか」という問いが調達の前提に入ってきたことだと結んでいます。
豊田通商とJOGMECが関わるナミビアのLofdal重レアアース鉱山でも、パートナー企業が現地での湿式製錬の評価を始めました。
原料を買うだけでなく、現地の加工や電源、設備にどう関わるかを考える時期に来ていると思います。

今週の数字
47.8%:2026年のサハラ以南アフリカで、1人1日3ドル未満で暮らす人の割合の見込み(世界銀行)。成長率は4.3%の見込みです
6,551人:2025年10月1日時点で、アフリカ54カ国に住む日本人の数(外務省)。海外に住む日本人の約0.5%です
21カ国:アフリカ金融市場指数2026で、前年よりスコアが上がった国の数(29カ国中)。前年は10カ国でした
約11兆エジプトポンド(約32兆円):エジプト政府とTMGが合意した4つの都市開発の投資額。これから長い時間をかけて投じる計画上の金額です
11カ国:2027年に次の国政選挙を迎えるアフリカの国の数。ケニアとナイジェリアも入っています
24.76%:ダンゴテ側がナイロビ証券取引所のブロック取引で取得したKPC株の比率。取引額は約425億ケニアシリング(約510億円)と報じられています
94.6%:GoldBodが10月に買い取った小規模採掘の金のうち、国内の精錬所で精錬した割合。2026年の累計では約3割です

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