回復局面に入った2025年のアフリカ・スタートアップ市場と日本企業の協業機会!
- Hiroshi Yokoyama
- 1月22日
- 読了時間: 4分

2025年のアフリカ・スタートアップ市場は、調整局面を抜け、明確な回復フェーズに入りました。年間の資金調達総額は32億ドルに達し、前年比で40%増と大きく伸長しています。
一方で、資金は依然として特定国に集中しており、国別・成長段階別に見るとエコシステムの質には大きな差があります。
本記事では、Africa: The Big Dealが公表した2025年の最新データをもとに、市場構造の変化を整理し、アフリカでの事業共創を検討する日本企業にとっての実務的な示唆を読み解きます。
回復と集中が同時に進む市場
2025年は、アフリカのスタートアップ市場にとって「回復」と「構造の固定化」が同時に進んだ年でした。
年間の資金調達総額は32億ドルと、前年比で40%増加し、2022年以降続いていた調整局面を明確に脱しています。

金額ベースでは2023年をも上回る水準に回復しましたが、その内訳を見ると、資金の82%がエジプト、ケニア、ナイジェリア、南アフリカのBig4に集中しています。
この比率は2023年の84%、2024年とほぼ同水準であり、2019年以降、大きな構造変化は見られていません。
Big4は、アフリカ全体の名目GDPの約40%、人口の約30%を占めていますが、スタートアップ市場において重要なのは、起業家の経験、投資家層の厚み、法制度、EXITの蓄積といったエコシステムの成熟度です。

2025年に1,000万ドル以上を調達したスタートアップの81%がBig4に本社を置いていることからも、大型ラウンドが成立する国は依然として限定されています。
こうした構造は短期的に変わるものではなく、日本企業がアフリカ市場を検討する際にも、前提条件として正しく理解しておく必要があります。
初期は分散、後期は集中
一方で、成長初期段階の資金調達に目を向けると、異なる動きが見えてきます。2025年に10万〜100万ドルを調達したスタートアップのうち、Big4に拠点を置く企業は56%にとどまりました。
2021年には75%であったことを踏まえると、起業活動そのものはBig4以外の国にも着実に広がっていることが分かります。

しかし、その後のスケール段階に進み、より大きな資金を調達できる企業は、引き続きBig4に集中しています。
結果として、アフリカのスタートアップ市場は、初期段階では地理的に分散しつつも、後期段階では資金・案件が特定国に集中する二層構造を強めています。
これは、日本企業がスタートアップと協業を検討する際に、「どの国か」だけでなく、「どの成長段階にある企業か」を見極めることの重要性を示しています。
国別に異なる成熟のかたち
国別に見ると、エコシステムの成熟のかたちは大きく異なります。
ケニアは2025年に約10億ドルを調達し、アフリカ最大の資金調達国となりましたが、その60%はデットでした。オフグリッド電力や分散型エネルギー分野を中心に、事業モデルが一定程度確立した企業が、大型デットを活用して成長を加速しています。
一方で、10万ドル以上を調達したスタートアップ数は前年比▲23%と減少しており、起業数の増加よりも、勝ち残った企業のスケールが市場を牽引していることが分かります。

南アフリカは約6億ドルを調達し、その90%以上がエクイティでした。Big4の中で、総額・エクイティ・件数のすべてで前年比成長を達成した唯一の国であり、VC主導型の比較的成熟した投資環境が機能しています。

ナイジェリアは前年比▲17%と資金調達額が減少しましたが、10万ドル以上を調達したスタートアップ数は86社と最多です。大型投資は減少しているものの、起業活動自体が停滞している市場ではないことが読み取れます。

協業先として現実味を増す市場
2025年の資金調達データが示しているのは、アフリカのスタートアップ市場が「急成長だが不安定な実験段階」から、「選別が進み、事業として組める企業が残る段階」へと移行しつつあるという点です。
特にBig4では、エネルギー、フィンテック、インフラ関連分野を中心に、事業パートナーとして具体的な議論が可能な企業が増えています。
また、VCの評価軸は、ユーザー数やGMVといった見かけの成長指標から、キャッシュフロー、収益の持続性、資金繰りの健全性へと変化しています。
2025年にデットファイナンスの比率が高まっていることは、事業として一定の安定性を備えたスタートアップが増えていることを示しています。
この環境は、日本企業にとって、単なる市場調査や短期的なPoCにとどまらず、中長期の視点での事業共創を検討しやすい局面に入ったことを意味します。

アクセルアフリカでは、こうした市場の変化を前提に、現地のエコシステムやスタートアップの成長段階を踏まえた実務的な協業支援を行っています。
アフリカ市場での次の一手を検討する日本企業にとって、2025年は「調査」から「実行」へと踏み出すための重要な転換点となっています。
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