top of page

【Weekly Africa Biz】2026年7月第1週|エチオピア証取に5社目上場、Paga「トークン化投資」、LemFi買収、Afreximbank貿易報告


今週は、アフリカビジネスに関する記事を7本公開しました。


エチオピアで半世紀ぶりに立ち上がった株式市場から、ナイジェリア発フィンテックのトークン化投資、コンゴ民主でのステーブルコイン実証、そしてAfreximbankの最新貿易報告書まで。


「決済・送金」の次に来るアフリカ金融の進化と、資本市場・物流・貿易金融という「見えない土台」をめぐる動きが一気に可視化された1週間でした。


今週のアフリカビジネス——3つの注目トレンド


今週公開した記事群を俯瞰すると、大きく3つの動きが見えてきます。



1つ目は、モバイルマネーの「次」——オンチェーン金融がアフリカで一気に立ち上がった週です。


ナイジェリア最古参フィンテックのPagaは、ブロックチェーン基盤のTBookと組み、海外不動産や固定利回り商品などの「トークン化された実物資産(RWA)」に少額から投資できる仕組みを打ち出しました。


同じ週、Visa・M-Pesa・Onafriqの3社はコンゴ民主共和国(DRC)で、送金の裏側決済をステーブルコインで処理する実証に乗り出しています。


銀行口座の普及が薄いアフリカでは、守るべき既存インフラが少ないぶん、新しい技術がそのまま主役になれる——この「跳躍」の余地が、世界に先駆けた実験を呼び込んでいます。



2つ目は、「見えない土台を制する者が勝つ」という構造が、複数の記事に共通して現れた週です。


エチオピア証券取引所(ESX)にAbay Bankが5社目として上場し、半世紀ぶりの資本市場が着実に厚みを増しています。


南アフリカEC最大手のTakealotは、創業約15年で初の黒字化を達成しましたが、その決め手は「商品を売る」ことより、自前の物流インフラを外部にも貸し出す発想の転換でした。


そしてAfreximbankの貿易報告書が繰り返し強調するのも、PAPSS(汎アフリカ決済・清算システム)や貿易金融という「決済と信用の土台」の重要性です。


資本市場・物流・決済——最も地味なインフラを押さえた者が、最後に競争を制します。



3つ目は、「掘るアフリカ」から「作るアフリカ」へ、そして日本の常識を疑う視点です。


Afreximbankの報告書は、アフリカ商品貿易が約1.5兆ドルに拡大する一方、銅やコバルトの付加価値の多くが域外の精錬業者に流れる構造を突きます。


カギはAfCFTA(アフリカ大陸自由貿易圏)を軸とした産業化と域内貿易です。


同時に、今週のフィンテック記事群はいずれも「銀行口座を前提とする日本の発想が通じない」という一点に収れんしました。


LemFiの移民金融、Pagaのトークン化投資、DRCのステーブルコイン——前提を組み替えられるかどうかが、機会を掴めるかの分かれ目になります。



今週のアフリカビジネスニュース——記事一覧


【6/29】エチオピア証券取引所(ESX)に5社目が上場——日本企業が注目すべき資本市場の胎動




人口約1億3,000万人のアフリカ第2の人口大国に、つい1年半前まで現代的な株式市場は存在しませんでした。


1970年代に旧来の取引所が廃止されて以来、半世紀以上の空白です。その空白が、いま急速に埋まりつつあります。


2025年1月に開業したエチオピア証券取引所(ESX)に、6月25日、地場のAbay Bankが5社目として上場。


2030年までに50社という国家目標のもと、資本市場という成長インフラが後発国で立ち上がろうとしています。電動バイクのDodaiなど、その入口に立つ日本人起業家もすでにいます。



【6/30】Takealotが15年で初黒字化——南アフリカEC最大手に学ぶ「物流を売る」成長戦略



赤字続きの巨大ECが黒字化にたどり着いた背景には、「商品を売る」だけでなく、自前の物流インフラを外部にも提供するという発想の転換がありました。


南アフリカEC最大手Takealotが、創業約15年で初の通期黒字(調整後営業利益ベース)を達成し、売上高は10億ドル(約1,600億円)に到達。


しかもAmazon参入後の激戦下での快挙です。ECにとって最大のコストだった物流を、外販によって収益源へと反転させる——「コストを武器に読み替える」戦略は、アフリカ進出を狙う日本企業にも示唆的です。



【7/1】アフリカで広がる「トークン化投資」!ナイジェリア発PagaとTBookに見るフィンテック新潮流



日本の個人が海外の商業不動産を買うには通常、数千万円が要ります。


ところがナイジェリアでは、スマホ決済アプリを通じて、海外の実物資産や固定利回り商品に少額から投資できる仕組みが立ち上がろうとしています。


旗を振るのは最古参フィンテックのPaga。ブロックチェーン基盤のTBookと組み、「トークン化された実物資産(RWA)」への投資を開放します。


決済で稼ぐ会社から「金融インフラそのもの」へ——銀行口座の普及率が日本より低いアフリカで、なぜオンチェーン金融がこれほど早く立ち上がるのかを読み解きます。



【7/2】Visa・M-Pesa・Onafriqがコンゴ民主でステーブルコイン実証——アフリカ送金はどう変わるのか



決済大手のVisa、モバイルマネーの象徴M-Pesa、そしてアフリカ全域の決済網を担うOnafriq。この3社が、コンゴ民主共和国(DRC)でM-Pesaウォレットへの入金などをステーブルコインで裏側決済する実証に乗り出しました。


狙いは、国境をまたぐ送金に残る「遅い・高い・複雑」を、利用者の操作感を変えずに解けるか。


DRCは成人の金融アクセス率が約30%と低く、「銀行を飛ばしてデジタルへ」という跳躍が起きやすい土壌です。アフリカが世界の決済インフラの実験場になりつつある構図を追います。



【7/3】LemFiがWealth8を買収——アフリカ発フィンテックが狙う「移民金融」市場



送金アプリが、わずか数年で「銀行のような総合金融アプリ」へと進化しています。


しかも武器は自前開発だけではありません。ナイジェリアにルーツを持つ越境送金企業LemFiは、7月2日に英投資プラットフォームWealth8(最低投資額8ポンド=約1,600円)を買収。


2025年以降、欧州展開・信用・資産運用を立て続けにM&Aで取り込み、移民の「金融人生」を丸ごと囲い込む戦略を描いています。


200万人超の顧客を抱え、Tetherの出資でステーブルコイン送金も進行中。「移民金融」という日本から見えにくい巨大市場の争奪戦を解説します。



【7/4】アフリカ貿易1.5兆ドルの全体像——分断する世界で存在感を増す理由<前編>



関税の応酬、経済安全保障、紅海の緊張——世界経済が分断へ向かうなかでも、アフリカ貿易は拡大していました。


Afreximbank(アフリカ輸出入銀行)の『African Trade Report 2026』によれば、2025年のアフリカ実質GDPは3.4%から4.5%へ加速し、商品貿易は6.1%増の約1.5兆ドル(約240兆円)に到達。


前編では、世界のコンテナ輸送の約3割を占める紅海・スエズ回廊の混乱に象徴される地政学リスクと、アフリカ貿易の全体像を数字で整理します。


貿易額は伸びた一方、963億ドルの貿易赤字が示す「輸入超過」という構造的な弱さも見えてきます。



【7/5】アフリカ域内貿易2,138億ドルの転換点——AfCFTAと産業化が変える商機<後編>



コンゴ民主共和国は世界最大のコバルト生産国です。ところが、その付加価値の多くは大陸の外の精錬業者に渡っている——「掘るのはアフリカ、儲けるのは域外」。


この構造をどう変えるかが後編の主題です。域内貿易は5.47%増の2,138億ドル(約34兆円)に伸びたものの、商品貿易全体(約1.5兆ドル)のなお一部にすぎません。


AfCFTA(49カ国が批准)、PAPSS(汎アフリカ決済・清算システム)、そして地域別の「未実現の輸出ポテンシャル」から、産業化への道筋を読み解きます。


日本企業には「資源の産地」から「加工・製造・決済のパートナー」へと見方を変える視点が問われます。



編集部ピックアップ:7/4-7/5「Afreximbank『African Trade Report 2026』」


今週の注目は、Afreximbankの年次貿易報告書を読み解いた前後編です。


テーマは「地政学を、アフリカの貿易と産業化に活かす」。世界が保護主義と経済安全保障へ傾き、紅海・スエズの混乱で世界のコンテナ輸送の約3割が影響を受けるなか、報告書はこれを危機としてではなく、生産・調達・物流・決済の拠点をアフリカへ引き寄せる機会として捉え直します。


象徴的なのが、コンゴ民主が世界最大のコバルト生産国でありながら、その付加価値の多くが域外に流れているという指摘です。


だからこそ、AfCFTAを軸とした域内での「作る・運ぶ・決済する」仕組みの強化が鍵になります。


日本企業にとっても、アフリカを単なる資源の産地と見るのか、付加価値が生まれ始めた加工・製造・決済のパートナーと見るのか——その見方の差が、これからの機会の差になります。サプライチェーン再編を考えるすべての方に読んでいただきたい2本です。



今週の数字


  • 5社目:エチオピア証券取引所(ESX)に上場したAbay Bank(2030年までに上場50社という国家目標のもとでの一社)

  • 10億ドル(約1,600億円):南アフリカEC最大手Takealotの通期売上高(創業約15年で初の調整後営業利益黒字化)

  • 約110億ドル(約1兆7,000億円):Pagaの決済基盤「Paga Engine」が2025年に処理した取引額(300社超が利用)

  • 約30%:コンゴ民主共和国(DRC)の成人の正式な金融サービスアクセス率(ケニアの84%と対照的)

  • 200万人超/30カ国以上:越境送金企業LemFiの顧客数と展開国数(送金から投資まで総合化)

  • 8ポンド(約1,600円):LemFiが買収した英Wealth8の最低投資額(「初めて投資する人」を取り込む設計)

  • 約1.5兆ドル(約240兆円):2025年のアフリカ商品貿易総額(前年比6.1%増、うち貿易赤字は963億ドル)

  • 2,138億ドル(約34兆円):2025年のアフリカ域内貿易額(前年比5.47%増、それでも全体のごく一部)

  • 400億ドル(約6.4兆円):Afreximbankが2026年までに倍増を目指す域内貿易金融の規模

  • 約1.4兆ドル:2025年のサブサハラ・アフリカのモバイルマネー取引額(世界の取引額の約67%を占める)


アフリカビジネスの「いま」を、毎週お届けしています。


AXCEL AFRICAは、日本とアフリカ諸国を繋ぎ、社会課題解決型ビジネスを共創することで、アフリカの持続的成長に貢献します。ケニア拠点を軸にアフリカ主要国をカバーし、市場調査・現地パートナー連携・事業開発支援を提供しています。

アフリカ市場への参入をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。


コメント


bottom of page