2月13日、日本貿易振興機構(JETRO)がアフリカ9か国9都市の投資関連コストを比較した調査結果を公開しました。
この調査はアフリカ進出を考える企業、または既に進出済みで横展開を検討している企業にとって、今後のビジネス戦略を構築する上で有用な情報が満載です。
本記事では昨今の投資環境の変化を踏まえた、特筆すべき点に関してご紹介します。
日本向け運賃は下落、紅海封鎖の影響受けず
グローバル貿易に関して、現在の最重要トピックはイエメンのフーシ派が商船を襲撃する事件が頻発したことによる、運行ルートの変更でしょう。これまで用いられてきた紅海を経由するルートが封鎖されたことで、海運各社はアフリカ南端の喜望峰を回るルートへの変更を強いられ、大きく遠回りせざるを得なくなりました。
このことで輸送コストが跳ね上がり、たとえばアジアから北欧へ輸出する運賃は2倍以上に上昇しました。
一方、JETROの調査によると、日本-アフリカ間のルートは封鎖の影響を受けておらず、40フィートコンテナでは日本への輸送運賃が一部を除き10~30%下がっており、日本からアフリカ諸国への輸送もピークの半分近い運賃に戻ってきています。
紅海封鎖により、グローバル貿易は打撃を受けていますが、アフリカ側からみれば物流が増え、恩恵を受けている面があるといえそうです。
コートジボワール、一部で南アの賃金を追い越す
投資関連コストで重要な要素である賃金ですが、アフリカ諸国は概ね物価上昇の受けており、連動して賃金が上がる傾向が続いています。
直近ではアディスアベバ(エチオピア)が顕著で、2023年では名目賃金が31.4%上昇しました。また、アクラ(ガーナ)でも同年に30%の上昇を記録しており、投資環境の変化が激しいのが特徴です。
一方、カサブランカ(モロッコ)では2021年に名目賃金が1.7%下落し、2022年では2.1%の上昇に留まるなど、アフリカ諸国の中でも珍しい推移となっています。
さらに、アビジャン(コートジボワール)とヨハネスブルク(南ア)を比較すると、製造業や非製造業の一般スタッフはヨハネスブルクの方が高いのですが、マネージャー(管理職)クラスになると一部ではアビジャンの方が高くなる事例が出てきているようです。
両国の経済成熟度や規模を考慮すると南アの賃金が高くなって然るべきとも思いますが、アビジャンにおける人材の偏重、つまりマネージャークラスの人材の希少さが反映された結果と解釈できるかもしれません。
このように、同比較調査は対象都市(国)の経済状況を読み解く大きな手掛かりになります。ぜひ同調査を比較し、これからのアフリカ進出にお役立てください。
参照元:2023年度 アフリカ投資関連コスト比較調査(2024年2月)
(イメージ画像はUnsplashより。©Stephen Dawson)
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