コロナ禍以降、ウクライナ戦争や世界的な金利上昇といったグローバルレベルで不確実性が高まった影響もあり、アフリカ諸国では債務リスクの上昇が続いていました。ザンビア、ガーナ、エチオピアなどの国々では持続不可能な債務が積み重なっており、財務再建が喫緊の課題となっています。
しかし、アフリカ開発銀行は2月16日に公開した「アフリカのマクロ経済パフォーマンスと展望」の中で、「政府と民間債権者が債務再編の最終決定に向けて第一歩を踏み出したことで、希望の兆しが見えてきた」としています。
本記事では財政面からみたアフリカの現状をご紹介します。
再建への道のり
グローバルレベルで不確実性が高まっている現状にも関わらず、アフリカ諸国は財務再建への努力を継続しており、状況を改善している途上です。
2020年にコロナ禍以降、アフリカで初のデフォルト国となったザンビアは、中国が主導する二国間の公的債権者との債務再編に関する交渉を終え、2023年10月に、同国の債務63億ドルを再編成するという合意についてMoUに署名しました。
昨年債務不履行に陥ったガーナは、二国間債権者と債務再編の基本合意をしており、3月末までにユーロ債保有者との合意を取り付ける見込みです。
アフリカにおける債務リスクが高い国々では、債務再編を支援するG20 共通枠組みの下、二国間および民間債権者と債務整理をまとめることに注力しています。
アフリカ開発銀行のレポートよれば、「債務が窮迫している国や債務窮迫のリスクが高い国すべてに債務救済措置が適用されれば、一連の経済ショック後の国内財政再建努力を強化し、成長を促進するための財政的余地を提供することができる」としており、共通枠組みを活用した財政再建に期待を示しています。
数字の上でも改善
アフリカの国内総生産(GDP)に対する債務比率は2021年から2023年までで63.5%程度に達していましたが、現在は平均60%程度まで減少しており、10年近く続いた上昇傾向に事実上歯止めがかかるとみられています。
また、ゴールドマンサックスの予測では、サブサハラ諸国の国債発行額は今年45億ドルに達する見込みで、ユーロ債を全く発行できなかった前年、前々年と比べて、財政余地が出来つつあることが分かります。この理由としてアナリストは、米国FRBの利下げが近いと見込まれ投資家が再び新興国市場へ関心を持ち始めたこと、そしてアフリカ諸国の経済再建が進んできたことが理由として挙げられています。
依然として通貨安に関連して多額の返済利息を支払わなければならないといった懸念はありつつも、2024年がアフリカ地域における財政再建の年となることに期待したいですね。
(イメージ画像はPixabayより。©AlexBarcley)
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