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イスラエル・パレスチナ紛争で分かれる、アフリカ諸国の対応

イスラエルとハマスの衝突がきっかけとなり、アフリカ諸国の間では対応について激しい議論が行われています。アルジャジーラ紙が14日付で公開した記事を基に、それまでパレスチナ寄りと考えられがちだったアフリカ諸国の変化について紹介します。


各国で分かれる対応


ハマスのイスラエル南部への攻撃に関連して、ケニアのルト大統領は8日、SNSのXでイスラエルを支持する投稿を公開しました。また、ザンビア、ガーナ、コンゴ民主共和国等はイスラエルの立場に同調する立場であるとアルジャジーラ紙は指摘しています。


一方、南アフリカ政府はハマスの14日の声明で、イスラエルの不法占拠や、アル・アクサ・モスクやキリスト教の聖地に対する冒涜が暴力に拍車をかけた原因だと非難しました。アルジェリアは紛争の初期から「パレスチナとの全面的な連帯」を宣言しました。


ムサ・マハマット・ファキ委員長が率いるアフリカ連合委員会は、暴力に懸念を表明しながらも、パレスチナ人の基本的人権が否定されている現状を非難し、両国による解決を求めています。


このように、アフリカ諸国の間でも意見の相違が明らかになっています。


1973年に関係を断ち切ったアフリカ統一機構


何世紀にもわたり植民地主義と人種差別の弊害に苦しみ、歴史的にパレスチナを支持してきたアフリカ大陸で、なぜ対応が分かれているのでしょうか?


歴史を振り返れば、1960年代に植民地支配からようやく脱したアフリカ諸国は、新しく形成されたイスラエルに冷淡で、1948年に土地と家を追われたパレスチナ人の闘争に同情的でした。


1973年の第四次中東戦争後、当時のアフリカ統一機構はイスラエルとの関係を断ち切っています。


南アフリカの英雄、ネルソン・マンデラ元大統領が、白人の支配に対する南アフリカ黒人の闘いと、イスラエルの占領に対するパレスチナ人の闘いに類似点を示したことは広く知れ渡っています。


最近では2022年7月、南アフリカのナレディ・パンドール外相が国連に対し、イスラエルを「アパルトヘイト国家」と宣言するよう求めました。


ロシアによるウクライナ戦争が勃発する中、西側諸国がアフリカやアジアの国々にモスクワの行動を非難するよう圧力を強めるなか、同外相はイスラエルによるパレスチナの土地の占領に関して、なぜ西側諸国は同じ国際法の原則を適用しようとしないのかと反発しました。


経済・安全保障で拡大するイスラエルの影響力


アフリカ統一機構が関係を断ち切った1973年以降、アフリカ諸国の対イスラエル関係は激変しました。現在ではアフリカ54カ国のうち44カ国がイスラエルの国有を承認し、30カ国近くがテルアビブに大使館や領事館を開設しました。


その理由として、多くのアフリカ諸国が経済および安全保障面でイスラエルと関係を構築すると、大きな利益が得られることが挙げられます。


アフリカでは人口の5分の1が栄養不足で、干ばつや洪水、異常気象と戦う頻度が高まっている中、先進的な農業技術を持つイスラエルからの支援が重要度を増しています。


貿易と安全保障の利益について、1978年にエジプトとイスラエル間の平和条約を協議を盛り込んだキャンプ・デービッド合意が重要な転機となりました。


アラブの主要国であるエジプトがイスラエルと合意を結んだことで、多くのアフリカ諸国はイスラエルに対して好意を持つようになったといいます。


この傾向は1993年に、パレスチナとイスラエルの和平に関するオスロ合意以降、さらに勢いを増しました。最近では、チャド、モロッコ、スーダンがイスラエルと国交正常化を果たしています。


2021年、イスラエルは機械、電子機器、化学製品をアフリカ大陸に輸出しており、貿易額は7億5000万ドル以上に達しました。。


そのうち3分の2近くは南アフリカと、次いでナイジェリアと取引されており、イスラエルは2021年に1億2900万ドル相当の商品を取引しました。


この他、イスラエルはエチオピアへ何百万ドルもの人道援助を行い、ケニアの学生を招き、農業や医学の研修を受けさせたり、セネガルの起業家に経営に関する研修を行ったりしています。


カメルーンでは、イスラエル軍が大統領直属の精鋭部隊を訓練することでポール・ビヤ現大統領を支えていると考えられています。


2017年の初め、イスラエルのネタニヤフ首相はリベリアで開かれた会議で西アフリカの指導者たちに向けてこう宣言しました。


「イスラエルはアフリカに戻り、アフリカはイスラエルに戻ってくる」。


単純な利益で割り切れない関係


アフリカ諸国に接近するイスラエルですが、アフリカ連合大使アレリグネ・アドマス氏が2021年にアフリカ連合にイスラエルのオブザーバー資格を求め、一時はこの要請が認められました。


しかし、アルジェリアと南アフリカが抗議したため、イスラエルの地位は今年2月に一時停止されています。一方、パレスチナは2013年以来、AUオブザーバー資格を保持しています。


別の例では、アフリカ諸国はイスラエルとの関係を強めているにもかかわらず、2017年の国連緊急会議で、米国トランプ元大統領がエルサレムを首都に認定したことを無効とする決議で、圧倒的多数で賛成票を投じています。


イスラエルとの貿易で大きな利益を享受している南アフリカは昨年の議会で、外交関係と在イスラエル大使館を格下げする決議案を可決しました。


このように、歴史的なパレスチナ支持の立場と、イスラエルが提供する大きな経済面や安全保障面の利益との間で、アフリカ諸国が揺れ動いているというのが実情といえるでしょう。


また、国内世論、二国間での利益関係、そしてアフリカ連合や国際社会の一員としての立場で、それぞれ思惑に差が生じている可能性も無視できません。


イスラエルによるガザへの攻撃が続き、地上侵攻が行われるようになれば、アフリカ側からの反イスラエルの声はさらに高まるでしょう。


(画像はO-DANのフリー素材より)

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