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アフリカ現地ニュース解説まとめ(2025年4月)


アクセルアフリカ代表noteでは定期的にアフリカ現地で話題のニュースを深堀って解説をしています。


本記事は2025年に4月にポストした4本のポストの要約をお届けします。


もしご関心のある内容がありましたら、ぜひnoteで詳細をご覧ください。



この記事は、Operaが開発したステーブルコインウォレット「MiniPay」が、アフリカにおけるWeb3金融の社会実装を推進していることを紹介しています。


MiniPayの特徴:

  • Opera Miniブラウザに統合され、電話番号だけでステーブルコインの送受信が可能。

  • Celoブロックチェーン上で構築され、5秒以内のトランザクション確定と低手数料を実現。

  • 現地の主要決済手段(Airtime、M-Pesa、銀行振込、カードなど)と統合され、ユーザーは現地通貨との相互変換を柔軟に行うことができます。


MiniPayファンド:

  • 2024年12月に、OperaとVerda Venturesが総額4,000万ドルの「MiniPayファンド」を設立。

  • アフリカのスタートアップに対して、モバイルバンキング、資金供給、資産形成支援の分野で投資を行う。

  • 出資先には、Pretium、Partna、Mento Labs、Muralなどが含まれる。


受賞と今後の展望:

  • 2025年2月、Africa Tech SummitでWeb3部門の最優秀賞を受賞。

  • 今後は、ローカル通貨建てステーブルコインの導入が進み、公共料金の支払い、税金、マイクロレンディングなどの国内ユースケースにも波及することが予想される。

  • Operaの3億人超のアクティブユーザーとCeloブロックチェーンの技術基盤を組み合わせることで、MiniPayはWeb3版「金融スーパーアプリ」の実現に近づいている。


MiniPayは、アフリカの金融包摂を促進し、Web3技術の実用的な社会実装の成功例として注目されています。


この記事では、ケニア政府が2025年4月に国会へ提出した「仮想資産サービス提供者法案(VASPs法案)」の概要と、その影響について解説しています。


法案の背景と目的

  • 背景: ケニアでは暗号資産市場が急速に拡大し、GDPの約20%に相当する規模に達しています。しかし、規制の不備から詐欺や資金洗浄のリスクが高まり、2024年には金融活動作業部会(FATF)から「グレーリスト」に掲載されました。

  • 目的: 金融システムの安定性確保、消費者保護、革新的なフィンテック企業の成長促進を目指しています。


主な規制内容

  1. ライセンス制度の導入: すべての仮想資産サービス提供者(VASP)は、ケニア資本市場庁(CMA)またはケニア中央銀行(CBK)からのライセンス取得が義務付けられます。

  2. AML/CFT対策の強化: マネーロンダリングやテロ資金供与の防止のため、厳格な本人確認(KYC)や取引監視が求められます。

  3. 利用者保護とサイバーセキュリティ: 顧客資産の保護、データセキュリティ、苦情処理体制の整備が義務付けられます。

  4. 初期仮想資産提供(ICO)の規制: ICOを行うには事前にCMAの承認が必要であり、詳細な開示義務が課されます。

  5. 匿名性の高い技術の禁止: 「ミキサー(Mixer)」や「タンブラー(Tumbler)」など、取引の匿名性を高める技術の使用が禁止されます。


罰則と義務

  • 罰則: 無許可営業には最大1,000万ケニアシリングまたは10年以下の懲役が科されます。

  • 事業者の義務: 最低資本金の確保、顧客資産の分離管理、CEOの適格性審査、データ保護、サイバーセキュリティ対策などが求められます。


業界の反応と懸念

  • 肯定的な意見: 法的枠組みの整備により、業界の信頼性が向上し、国際的な投資家やパートナーの関心を引き付ける可能性があります。

  • 懸念点:

    • 3%のデジタル資産税がスタートアップや個人投資家にとって過度な負担となる可能性があります。

    • 仮想通貨取引における匿名性の排除が、プライバシーの侵害やデータ保護の不備を引き起こす懸念があります。

    • 厳格なライセンス要件や報告義務が、資金やリソースの限られたスタートアップにとって大きな負担となり、イノベーションの阻害要因となる可能性があります。


結論

VASPs法案は、ケニアの仮想資産業界における規制の明確化と信頼性向上を目的としていますが、同時に業界の成長やイノベーションへの影響について懸念も示されています。今後の議論や修正を通じて、バランスの取れた規制枠組みの構築が求められます。


この記事では、ケニア発の物流スタートアップ「Lori Systems」が直面した課題と、それに対する新たな取り組みについて解説しています。


アフリカ物流の現状とLori Systemsの挑戦

  • 物流コストの高さ: アフリカではインフラの未整備により、物流コストが製品価格の30%以上を占めることもあり、国内流通や地域間貿易の大きな障壁となっています。

  • Lori Systemsの設立と成長: 2016年に設立されたLori Systemsは、荷主と輸送業者をマッチングするプラットフォームを開発し、物流の効率化とコスト削減を目指してきました。

  • 資金調達と評価額の変遷: 2019年にはGoogleなどからの投資を受け、評価額は約1億2,000万ドルに達しましたが、2024年のブリッジラウンドでは評価額が500万ドルにまで下落しました。


新たな事業モデルへの転換

  • 従来の課題: 輸送業者への前払いと荷主からの後払いにより、資金繰りが悪化し、自己資金や投資家資金への依存が高まっていました。

  • インボイスファイナンスモデルの導入: 銀行と連携し、銀行が輸送業者に前払いし、荷主から直接回収する仕組みに転換。これにより、Lori Systemsはバランスシート上の負債を軽減し、事業の持続可能性を高めています。

  • テクノロジーの活用: AIによるルート最適化、電動トラックの導入など、運送効率とコスト構造の改革を進めています。


課題と今後の展望

  • モデルの持続可能性: インボイスファイナンスモデルは銀行の信用に依存しており、競合他社の事例からも、資金調達の難しさが指摘されています。

  • 金利負担: 銀行の手数料(年利8%)が荷主に転嫁されることで、価格競争力の低下リスクがあります。

  • 利益率の低下: 新モデルでは、以前の前払いモデルよりも利益率が低くなる可能性があります。

結論

Lori Systemsは、資金繰りの課題に直面しながらも、新たな事業モデルとテクノロジーの活用により、再成長を目指しています。アフリカの物流市場の成長を背景に、同社の取り組みが成功すれば、他のスタートアップにとっても有益な指針となるでしょう。


この記事では、2024年のアフリカのベンチャーキャピタル(VC)市場の動向を分析し、日系企業が認識すべきポイントを解説しています。


2024年のアフリカVC市場の概況

  • 取引件数と額: 487件、36億ドル(エクイティ26億ドル、ベンチャーデット10億ドル)

  • 資金調達の二極化: シードやシリーズC以降は活発だった一方、シリーズA・Bは厳しい状況。

  • 資金調達期間の短縮: シードからシリーズAまで平均14ヶ月、シリーズAからBまで19ヶ月、シリーズBからCまで25ヶ月。

  • ベンチャーデットの増加: 取引件数60件、総額10億ドルで前年比3%増。

  • 新たなユニコーン企業: ナイジェリアのMoniepoint、南アフリカのTyme Bank。


地域別の動向

  • ナイジェリア: 取引件数70件、取引額4億1,700万ドル。金融分野が強く、Moniepointがユニコーンに。

  • 南アフリカ: 取引件数65件、取引額5億8,900万ドル。Tyme Bankの大型調達が牽引。

  • エジプト: 取引件数64件、取引額3億5,300万ドル。MNT-Halanが1億5,700万ドルを調達。

  • ケニア: 取引件数60件、取引額3億1,800万ドル。BasiGoやKapuなどが注目。

  • その他の国々: モロッコ、タンザニア、ウガンダ、ルワンダなどでスタートアップ投資が活発化。


セクター別の動向

  • 金融(FinTech): 取引額・件数ともに最大。取引額ベースで59%。

  • ヘルスケア: 取引件数が前年から46%減、取引額は78%減。

  • テクノロジー関連: 取引の約80%がテクノロジーまたはテクノロジーを活用した企業への投資。


EXITの動向

  • EXIT件数: 26件で前年とほぼ横ばい。

  • EXIT形式: ほぼすべてがM&A(合併・買収)で、IPOは確認されず。

  • 平均保有期間: 3.2年と比較的短期。

  • 主な買収主体: アフリカ域内の大手企業、欧米多国籍企業、他のスタートアップ


投資家の動向

  • 投資家数: 614社で前年から21%減。

  • アフリカ域内投資家の増加: 全体の31%(188社)を占め、過去最高。

  • 地域別分布: 南アフリカ(49社)、エジプト(33社)、ナイジェリア(28社)、ケニア(25社)で域内投資家の72%を占める。


日系企業が認識すべきポイント

  1. 質の高いスタートアップとの連携: シリーズB・Cの企業との技術・販売提携の可能性。

  2. ベンチャーデットの拡大: 金融ソリューションや資金提供パートナーとしての参入機会。

  3. FinTech、気候変動、サステナビリティ分野での提携: 日本企業の強みを活かした共同事業開発の可能性。

  4. 中堅国への早期進出: モロッコ、タンザニア、ガーナなどでの先行者利益の獲得。

  5. ローカル投資家・支援機関との連携強化: 現地VCやアクセラレーターとの協業による事業展開の加速。


結論

アフリカのVC市場は試練の年を経て、選別と適応の段階に入りました。日系企業にとっては、質の高いスタートアップとの連携や新興市場への早期進出が成功の鍵となるでしょう


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