世界銀行は1月9日、「世界経済見通し」を発表しました。報告書では、好調な米国経済により世界同時不況のリスクが後退したとしつつも、主要国の成長鈍化や貿易の低迷、数十年来で最も厳しい財政状況により、過去30年間で世界経済が最低水準の成長を予測するなど、厳しい見通しを示しています。
その様な状況下で、高成長国上位10ヵ国にアフリカ諸国から6ヵ国がランクインしました。10ヵ国の内訳は以下の通りになります。国名の右の数字が成長率、アフリカ諸国は太文字にしています。
<高成長国上位10ヵ国>
ガイアナ(38.2%)、ニジェール(12.8%)、パラオ(12.4%)、セネガル(8.8%)、ルワンダ(7.5%)、コートジボワール(6.5%)コンゴ民主共和国(6.5%)、インド(6.4%)、エチオピア(6.4%)、モンゴル(6.2%)
また、11位に同率でウガンダ(6.0%)、ベナン(6.0%)が入る等、国レベルでは好況を期待できる国が複数あります。
地域別の成長率は以下の通りになります。
<地域別成長率>
成長率が高い順から南アジア(5.6%)、次に東アジア&太平洋(4.5%)、サブサハラ・アフリカ(3.8%)、中東・北アフリカ地域(3.5%)、ヨーロッパ・中央アジア地域(2.4%)、ラテンアメリカ・カリブ海地域(2.3%)
サブサハラ・アフリカに焦点を当てると、ナイジェリア(3.3%)、南ア(1.3%)、アンゴラ(2.8%)といった経済大国で成長率が伸び悩んでいることが、地域別に見た際の成長率の低さに繋がっています。
報告書によればサブサハラ・アフリカ地域では財政支援の縮小や金属資源の価格下落といった経済成長の阻害要因が徐々に解消された結果、2025年には成長率が4.1%まで回復すると予測されます。
しかし、生活費の高騰は引き続き消費の伸びを制限し、一部の地域では政情不安が高まっていたり、高い債務負担と金利が財政余地を狭めているため、成長が下振れるリスクが依然としてあります。
その他のリスクには、中東紛争の激化やエネルギー価格と食料価格の上昇、世界経済が予想以上に減速する可能性、悪天候の頻度や規模の拡大、債務不履行の増加などが含まれます。
報告書では、こうしたリスクが顕在化すれば貧困はさらに深刻化し、多くの国々が気候変動に対処する能力も削がれると懸念を示しています。
世界が低成長に向かう中、世界銀行は持続的な投資ブームを生み出すことが必要であると提言しており、経済的に最も恩恵を与えられる投資条件を示しています。
しかし、コロナ禍以降、依然として財政が逼迫した国が多いアフリカ諸国では、どこまで自力で十分な投資をねん出できるかは不透明な状況です。
世界銀行や国際通貨基金といった機関から支援を活用しつつ、財政改革により財政余地を作り出し、将来に向けた投資をできるかどうか。各国は難しい課題に取り組まざるを得ない状況です。
(イメージ画像はPixabayより。©nattanan23)
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