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執筆者の写真長谷川 将士

TikTokがケニアで中小企業支援、各国で使用禁止の逆風も

若者を中心に利用者数を伸ばしているTikTok。ガイアックスによれば、日本国内のアクティブユーザー数は1700万人で、いわゆるZ世代への影響力が大きいことが特徴です。


TikTokの総アクティブユーザー数は、全世界で10億人。これはLinkedinの総登録者数と同数程度です。手軽に短い動画を次々に見られるというサービスが、他社のサービスと差別化できている証拠といえるかもしれません。


そんなTikTokですが、若者と相性が良いとなれば、世界で最も若年層人口が伸びているアフリカ地域に進出しない理由はないでしょう。


TikTokを運営するByteDanceは世界で57か所のオフィスを展開していますが、アフリカ地域では南ア、エジプト、モロッコの三ヵ国に加え、昨年8月にケニアにオフィスを設立しました。


ケニアのTiKTok人気は高いとみられており、ロイター・ジャーナリズム研究所によれば、サンプルとして聞き取った2025名中、TikTokを利用していると回答した割合は54%でした。


スタートアップ支援に149万ドルのファンド設立


ByteDance社は8月のオフィス設立後も手を止めることはなく、昨年末にケニアの地元中小企業やスタートアップへの支援を目的とした149万ドルのファンドを設立しました。


この投資を通じて、同社はTikTokを使ってビジネスを紹介するケニアの起業家に融資、助成金、トレーニング、指導を提供する計画です。


コロナ禍以降、減収に悩む中小企業が多いケニアですが、TikTokはこのプラットフォームを活用するファッション、食品、教育などの分野で支援を行う予定です。


テックインアフリカの報道によれば、効果的に配分されれば500以上の中小企業が恩恵を受け、1万人以上の雇用が創出される可能性があります。


さらに、単なる資本投入にとどまらず、TikTokはケニアの活気あるクリエイティブなコミュニティを評価しており、東アフリカの拠点としてTikTokを更に広める地盤を固める狙いもあるでしょう。


各国で使用禁止の逆風、ケニア議会でも…


一見、順調にアフリカ進出を拡大させているようにも見えるByteDanceですが、実はアフリカ各国でTikTokの使用禁止を求める動きが見られます。


2022年にはセネガルとソマリアで、政府によりTikTokの使用が禁止されました。一部報道では、エジプトとウガンダでも同様の措置が取られたと報じています。


ケニアでも議会でTikTokの使用を禁止する嘆願書が提出されましたが、23年8月にByteDanceの周CEOがケニアでルト大統領と会談後、急転直下してケニアオフィスの設立が発表されました。


もし周CEOがトップ間の合意を引き出せなかった場合、同社のケニアにおける展開はまた異なるものとなったでしょう。


各国でTikTokの使用が懸念されている理由の多くは、露骨なコンテンツやプライバシー侵害に対する懸念が挙げられます。


TikTokは短い動画の中で十分な説明もなく(発信者にとって)キャッチ―な情報発信が可能なプラットフォームであるため、時に事実と異なったり炎上しやすいコンテンツをそのまま発信しやすい傾向があります。


特に、政治において不安定な国が多いアフリカ地域では、こうしたプラットフォームが政治運動に結び付けられることが多く、各国で使用制限や禁止を求める動きが続発しています。


ルト大統領との会談後、周CEOもケニア社会に即した情報発信を約束しています。


責任あるプラットフォームであることを示せるか


このような背景を考慮した場合、ケニアにおける中小企業支援は単なる事業拡大の一環に留まらず、TikTokそのもののイメージ向上や社会貢献をアピールするための施策としての一面があるといえます。


影響力のあるプラットフォームであるため、もしTikTokが地元のビジネス支援に上手く活用されれば、経済の活性化に繋がることが期待できます。


TikTokに対する厳しい意見がありつつも、ByteDanceとしては地道に対話を重ねつつ、アフリカ地域におけるユーザーの取り込みを進めたい局面でしょう。



(イメージ画像はUnsplashより。©Solen Feyissa


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