アフリカ発スタートアップとしては初めてニューヨーク証券に上場したことで有名なEコマース企業のジュミアテクノロジーズですが、今年1月に新たなレイオフを行ったことが報じられました。
レイオフの人数は明らかではありませんが、昨年末にはフードデリバリー事業から脱退を発表し、事業再編とコスト削減に注力しています。
昨年、ジュミアは900人を解雇した後、ガーナ、セネガル、エジプトでの事業を停止し、市場の選択と集中を行いました。今回のレイオフでも同様に、悲願である黒字化を実現するための施策の一環であると思われます。
直近決算ではプラス材料も
ジュミアはコロナ禍が落ち着いて以降、存在感が低下しています。同社の株価はコロナ禍の影響が大きい2021年2月に62ドルと最高値を記録しましたが、それ以降は下落傾向にあり、現在では3ドルから4.5ドルの間に収まっています。
このような状況下、同社の第四半期の決算では、調整後のEBITDA(税引前利益ないし損益に、特別損益、支払利息、および減価償却費を加算した値)では、損失が100万ドルでした。この値は前年同期比で99%に減少しており、損失を抑えられた結果と捉えられます。
同社は同四半期の売上高が5,900万米ドルと、恒常為替レート(為替レート変動の影響を排除したレート)では売り上げ増を達成しているとしています。同社の数字が正しいならば、売上増とコスト削減を達成したことになります。
とはいえ、通年でみた調整後EBITDA赤字は5800万ドル。同社が設立されてから12年、黒字化までは道半ばです。
かつての「アフリカのユニコーン」の復活はあるか
かつてジュミアはアフリカ発のユニコーン企業(評価額10億ドル以上かつ設立10年以内の未上場ベンチャー企業)として注目を集めました。ニューヨーク証券に上場した後、新型コロナ到来後は巣籠もり需要が高くなると見込まれ、株価が最高値を記録したのもこの頃でした。
しかし、現在のCEOが就任するまでは巨額の損失を計上しつつ売り上げ拡大路線をひた走り、その結果として同社の赤字額はどんどん増加しました。そして、戦略が裏目に出たことで2022年に共同CEOが会社を離れました。
また、IPO後に初めて行われた決算発表では、米証券取引委員会に提出した書類に虚偽があったとして批判され、その数カ月後には、受注額を誤って1750万ドルほど過大計上していたことも明らかとなり、同社への信頼は大きく損なわれました。
以前は2022年までの黒字化を掲げていた同社ですが、現在のフランシス・ドゥフェイCEOの下、悲願は果たされるでしょうか。かつてのユニコーンの復活が待たれます。
(イメージ画像はUnsplashより。© Mark König)
Comments